こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

中央アジア67 中央アジアプロフセンター

中央アジアの料理は脂っこいとよく言われるが、陸路で移動しているうちに胃腸が順応してしまったのか、あまりそう感じることはなかった。いくつかタシュケントの代表的な店を紹介してみたい。

まず絶対に外すことができないのは、これは迷うことなく中央アジアプロフセンターである。好き嫌いに関わらず、ウズベキスタンを語る上で絶対に外せない店なのである。少なくともプロフという料理が、単なる焼き飯でないことを認識させてくれるのは間違いない。
プロフセンターに到着すると、まず入口に置かれた直径1メートル以上ある巨大釜に度肝を抜かれることが請け合いである。この巨大釜で羊の脂が熱せられ脂のプールが作られる。そこに大量の米と羊肉が投入されるのだ。作られている様子を見ると、炒めるというより脂の中を泳がせると言った方が正確かもしれない。こうしてコメは羊の肉や油の旨味と香りをたっぷり吸いこみ、ピンと粒の立った味わい高いプロフが出来上がるのだ。
ここでメニューの説明をすると、「C казы」が輪切りソーセージ入り、値段が5割高いのは肉が倍盛になる。好みに応じて卵(Яйцо、ヤイーチョ)とウズラ卵をトッピングしてもいい。あと飲み物として緑茶(Зеленый чай、ジェレニーチャイ)は忘れずに。さすがにお茶がないと完食は厳しいだろう。好き嫌いや賛否はあると思うが、こういう形のチャーハンがあるのだという強いインパクトを与えてくれることは約束する。

もしプロフセンターで物足りないようであれば、サーカス東側のナショナルフードにチャレンジしてみることをお勧めする。とにかくポーションの大きさが半端ないのだ。僕が頼んだ肉料理セットも優にトータル1kgを超えるボリュームで、食べた日は体中が火照って眠れなかった。肉に飢えている旅行者も絶対に満足するだろう。

胃腸を休めたい時は、内務省近くの韓国館によく行っていた。ここの冷麺が衝撃的なほどに美味で、ある時は1杯500円と値が張るにも関わらず、我慢できずにおかわりしてしまったほどである。後で知ったのだが、この店は正統な平壌冷麺を出す店だったのだ。
平壌冷麺の特徴は次のようなものだと考えている。そば粉を原料とする麺、肉をふんだんに使ったスープ、赤キムチを使わない。韓国館の麺はそばとして見ても質がかなり高かったと思う。また、スープも絶品で、おかわりした時は2杯ともスープを全て飲み干したほどだった。日本に戻ってきてから、同じようなものを探し求めたがなかなか見つからなかった。タシュケントでむしろはっきりと記憶に残っているのはこの冷麺かもしれない。
ただ、ウズベキスタン北朝鮮と友好関係にあり、直行便が飛んでいたからこそこの味が出せたのかもしれない。今となっては、そば粉やキジ肉を手に入れることはおよそ不可能と思われる。

他にも、アンディジャンプロフが美味しい食堂とか、パンが美味しいカフェなど色々あるが、僕は概してタシュケントのバラエティ豊かな外食にはとても満足していたのである。