こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

中央アジア53 ドゥシャンベ

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ホログは立ち寄る価値があると言ったけど、ドゥシャンベはお世辞にもすることがあまりない。僕にとって唯一の仕事はウズベキスタンのビザを取ることだった。だから真っ先にウズベキスタン大使館に足を運んだ。

多分、ドゥシャンベウズベクビザを取る人はちょっと珍しくて、どれくらい日数を要するか事前に情報集することができなかった。もし即日に取れればすぐにでもドゥシャンベを脱出するつもりだ。在外公館のビザ発給所要日数によってその国の首都滞在日数が規定されるという中央アジア特有の事情にここでも縛られている。そして実際にここドゥシャンベウズベク大使館で言い渡された所要日数は1週間、月曜日申請の翌月曜日発給だった。つまりホテルファルハングにあと7泊するということだ。僕は一瞬頭がくらっと来て心が折れそうになった。係りの女性に、ダメ元で少し短くなりませんかと懇願したら思いが伝わったのだろう。彼女はしばらく考え込んだ後に、「分かりました。金曜日に発給できるようにしましょう」と要求を呑んでくれた。僕は少し心が軽くなった。

ビザ取りという一大イベントを終え、僕はメルブで朝食を食べていた。ドゥシャンベは朝から暑く、クーラーの効いた店はそれだけで気持ち良い。メルブは食べ物のレベルもまずまずで、今日頼んだパニーニ風チーズサンドも美味しかった。すっかりここの居心地の良さに慣れてしまい、あのファルハングに戻るのが億劫で仕方なかった。考えてみれば、酷暑のなかクーラーのない南向きの1階というのは最悪の部屋だ。シャワーは共用でお湯も出ない。水道水も白濁してひどい味がする。新疆ウイグル自治区ウルムチの水道水を平気で飲んでいた僕でもさすがに体が受け付けない。うがいをしただけでえづいてしまったほどだ。ファルハングの不快な要素を想像しながら、メルブでポットの緑茶をちびちび飲んで時間を潰した。

ホテルに戻った僕は、意を決してレセプションの女性に部屋の交換をお願いした。しかしこの女性が、よりによって底意地の悪そうなおばさんだった。彼女は僕が何を言っても、返す言葉が「ハラショー、ハラショー」ばかりで取り付く島が全くなかったのだ。結局この日もこの部屋で過ごすことになった。

夜を迎えた。暑い部屋の温度をわずかでも下げる方策がないか頭を捻っていた。思いついたのはベランダに水を撒くことだった。水筒で水道水を汲んでベランダに撒く。打ち水というやつだ。これを多分何十回か繰り返したと思う。少し室内が涼しくなった気がした。しかしそれでも眠るには暑すぎる。こんな夜が続けば確実に体調を崩してしまう。もう一度部屋を交換してもらうようお願いしよう。