こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

中央アジア54 ドゥシャンベ

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夜が明け僕はフロントへ直訴しに行った。すると今度はすんなり4階の北側の部屋に替えてもらえた。バトルが待ち構えているものと予想していたから、あまりのあっけなさに拍子抜けしてしまった。ともかく一歩前進だ。言わずにぐちぐちと溜め込むのは良くない。

部屋が空くまでの間、メルブまで赴くのは面倒なので道を挟んでホテルの反対側のカフェで朝食を取った。目玉焼き、ウインナーにパンとお茶が付いたいわばアメリカンブレックファーストだ。これが9ソモニ、150円足らずで食べられるのだから安い。部屋を変えてもらって機嫌が良かったせいか、ドゥシャンベも悪くないと思い始めた。ケチをつけるとするなら、パンが食べきれないくらい大きいのが困る。

宿に戻り4階の部屋に荷物を移した。掃除はまったくされずゴミも放置されたままだったがそこには手を付けず、シーツだけ自分で交換した。部屋は清潔ではないけれど風通しは良く、ベランダからの見晴らしも悪くない。右斜め前にはサーカスが、左奥には集合住宅のアパートがあるのだが、視界を遮る建物がほぼないため開放的だ。4階にはシャワーもトイレも水道もないという不便さはあるものの、そのかわり部屋に冷蔵庫が付いているのが高ポイントだ。水とか果物を冷やして部屋で食べることができると思うと妙にテンションが上がった。

その時、誰かがドアをノックした。ドアの向こうには台湾人の女の子が立っていた。キルギスビシュケク、オシュで出会ったあの子だ。今日もホットパンツで白くて長い脚は相変わらず健在だった。きっとたまたま同じホテルに泊まっていて、僕が4階に上がっていくのを見かけたかホテルの人に聞くかして、ここまで来たのだろう。ドアを開けるとつかつかと部屋の中まで入ってきて、ベランダからの眺めを確認してふうんという表情をした。「あなたはいくら払っているの?」と聞いてきたので答えるとまたふうんという顔をして彼女は出て行った。彼女はホテルを変えるか部屋を変えるかについて検討する材料が欲しくて部屋を実際に確認しただけなのだろう。だがこちらからすると、他人に部屋の中まで入ってこられるというのは想定していないことだしそれが若い女性ということもあって、変にどぎまぎしてしまった。何となく今回は彼女に負けた気がした。