こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

ベトナム縦断6 カットバ島

2011年2月21日 

ハイフォンの港からカットバ島へは水中翼船が出ている。150kドンは意外に高いと思ったが高速で快適だった。ただし景色は水面下で全く見えない。9時半にハイフォン港を出航しわずか45分でカットバ島に到着した。

カットバ島は特異な景観を呈していた。港の背後にはすぐそこまで急斜面が迫り、幅の狭さと高さが不釣り合いなパステルカラーのミニホテルがぎゅうぎゅうに詰めて並んでいる。1軒目に当たったのはミーゴックホテルだったが、女主人の気風の良さと4階のシービューからの眺め、7ドルという安さで即決した。
つい先ほどまでハイフォンにいたことが嘘のようにカットバ島は遠い別世界だった。共用のベランダに出ると外の空気は全体にうっすらともやがかかり、たくさんの船を抱えた湾がパノラマのように拡がる。なお隣のホテルとの隙間がわずか数センチしかなく、人の侵入を防ぐためにベランダ間にはネズミ返しのような柵がせり出している。

さて5ドルでレンタルしたバイクを走らせ島を縦断する。不毛な土地にモンカイでは見かけなかったススキが至るところに群生している。道路に沿ってススキが生い茂り、隙間を縫ってシダ類が生えているところもあれば、白い砂地が露わになっているところもある。遠くに目をやると、ぼこぼこと隆起した岩山があちこちにみられ、緑がかろうじてへばり付いているものの、急峻な部分は地肌が剥き出しになっている。通るところに人が住んでいそうな気配はなく、ススキが不意にサワサワと音を立てると心細さで鳥肌が立つ。
島の北側に抜けて海が見えてきた時はほっとした。
さすがに寒い冬だから泳いでいる人はいない。でも水遊びをしている人は意外に多い。カットコビーチは良く晴れた夏ならば気持ちいいだろうと思う。もしカットバ島に滞在していれば、の話だけど。
島には洞窟がいくつかあったが、僕が入った範囲でわざわざ行く価値のあるものはなかった。近くの子供が付いてきて後になってガイド代を要求してくるのも煩わしい。15歳くらいの子供が「シルッティ、シルッティ」と何度も話し掛けてくるので、知らないベトナム語と思って聞き流したが、「thirty」のことだと後になって気付いた。30kドン=120円も妥当と言えば妥当か。まあ入口がタダで出口が有料なのは現代の商売も同じだ。無料のサービスは存在しない、が口癖の人はこういう時子供にお金払うのかな?

さて宿で聞いてみると、カットバからハロンシティまでの航路が実質的にハロン湾クルーズだというので15ドルで予約した。ホテル代は安いけれど、いろいろと手数料を取られるので損得の計算ができない。これは安いのかな?

ミニホテル群の近く、低い屋根で囲われた市場があって、その中の食堂で夕食を食べた。床はぬかるんで不潔だった。市場は屋根のせいで陽が差し込まず暗かった。わずかな照明を頼りにパパイヤサラダ、魚のグリル、オムレツをつまんだが、途中から食欲が失せて後半はグイと押し込んだ。200円ほどだったが、あと100円払ってきれいなところで食べれば良かった。