こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

ベトナム縦断29 ハティエンへ

2011年3月12日

朝から下痢が始まった。2日前のBBQが怪しい。あるいは無理がたたったのかもしれない。体がだるくて動く気がしない。とりあえずユーンドンまで出て、カフェでトーストを食べた。そのあと北に10分ほど歩いてフークォック空港の傍まで来た。道路から滑走路が非常に近いから、離発着に時間を合わせれば、上空すれすれの飛行機を仰げるのではないかと思ったのだ。だが時間が合わず、その瞬間には立ち会えなかった。あるいはフーコック島の位置を考えると、東から飛んできて東に飛んでいったのかもしれない。そして帰りに魚醤工場を散策して回った。フークォック島は品質の良いニョクマムの産地として有名なのだ。厳選されたイワシを新鮮なまま船上で加工し木樽で発酵させるため、えぐみのない魚醤ができるという。

12時半にピックアップの車が来た。出航は来た時と同じく東海岸のバイボン港だ。天気が悪かったのも手伝って、南国のビーチと言うよりはさびれた漁港のような物憂げな風情がある。今回の高速船はウナギのような形をしていてデッキはない。予定通り14時に出発した。結構揺れる。外の景色は殆ど見えない。ぴったり1時間半でハティエンに到着した。

ハティエンにはトーチャウ川が流れ、川の北岸に市街地がある。ガイドブックによると北岸に船着き場があるはずなのだが、船が着いたのは南岸だった。一つ目の誤算だ。そして二つ目の誤算が、両岸を結ぶ浮き橋(floating bridge)が無くなっていたことだった。浮き橋そのものを楽しみにしていた僕にとっては、二重にショックだった。となれば遠くに見える大きな橋で北岸に渡るほかなさそうだ。ひたすら河口を目指して歩き、それから歩道のないトーチャウ大橋を爆走する車に気を付けながら渡り、町へ出た。次は宿探しだ。
1軒目:Bao Tamホテル。4階のペントハウス風の部屋。10ドル。
2軒目:Tu Anhホテル。狭い、眺望なし。250kD
ドルとベトナムドンの違いがあるので円で揃えると、10ドルは800円、250kDは1000円。だから迷わずBao Tamホテルにした。
部屋のタイルはピカピカでホットシャワーも出る。ペントハウスの部屋からはすぐに共有バルコニーに出ることが出来る。逆に言うとプライバシーがない。ともあれ、僕は気に入った。このホテルは華僑系の経営だった。こんな南の果てまで商売をしにやって来るのかと大いに感心した。

Xuan Thanhという店で夕食にした。ここはロンリープラネットに載っていた店だ。外国人用メニューもある。驚いたのが、外国人用メニューは中身も値段も違うことだった。ガイドブックに載るとロクなことがない。頼んだ豚肉野菜炒めは豚が少なく、汁だらけで煮物のようだった。しかしニンジン、キャベツ、青菜がたくさん入って野菜をしっかりとれたので自分としては満足だった。

久しぶりに近くの店でインターネットを見た。昨日日本で地震があったことを知る。かなり大きな地震だ。津波の被害も甚大なようだ。ただの地震でないことは見た目に明らかだった。日本に帰るべきだろうか。しかし僕が帰っても役に立てることはないだろう。胸に重い物がのしかかったような気分だった。