こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

ベトナム縦断28 フークォック島

2011年3月11日

24時に悪夢で一度目が覚めた。変な緊張と不自由感でちょっと疲れているのかもしれない。悪夢の恐怖が抜けきらないまま眠りに落ちた。次は深夜4時に、今度は大雨の音で目が覚めた。

さて今日はシュノーケリングツアーの日だ。ピックアップの車がツアー客を集めてユーンドンまで移動しボートに乗り換える。ボートにはダイビング機材が積まれていた。この船はシュノーケリングとダイビングの混成ツアーで、合計10人くらいだった。1本目はクアンカンビーチの近く。水深5メートルから10メートルくらいのポイントだが、昨夜の雨のせいで水が濁っている。海面に顔を付けただけでは何も見えない。下に10メートル潜るとかろうじてサンゴ群が見える。しかし息が苦しいのと鼓膜が痛くなるのとで急いで海面に戻る。水平に泳いで景色を楽しむには、相当の息止めが出来ないと無理だ。潜って上がってを繰り返しているうちに疲れ果ててしまった。老夫婦は何も見えないと呟いて早々とボートへ上がっていった。
ダイバーが海中から戻って来るのに合わせて1本目が終了した。船上でパーカーのポケットを探った。上手く写真が撮れているか確認するためだ。そこで僕は、カメラを海中に落としてしまったことに気が付いた。ファスナーを閉め忘れたせいで、ポケットからこぼれて海底に沈んでしまったのだ。
旅に出てからの写真が全部消えてしまうかと思うと、激しく脱力感に襲われた。慌てて海へ潜り直すが、息が続かず海底まで到達できない。この濁った海のコンディションで、どこに落としたか分からない広大なエリアを捜索するのはほぼ不可能に見えた。こうなればダイバーになって潜るしかない。スタッフに事の顛末を話して、エアタンクを貸してくれるよう頼んだ。しかし当然のことだが安全管理上、絶対にそれはできない。代わりに彼が探してくれることになった。潜り始めて5分経過した。濁った海をどうやって捜索しているのか海上からは見えない。すると突然彼が海面に顔を出した。そして手には僕の青いカメラがあった。僕は胸を撫で下ろした。すぐさま動作確認を行う。問題なく撮影可能。データもきちんと残っている。僕のオリンパスのμ-tough6020は防水性能が5メートルだったが良く耐えてくれた。
2本目ポイントはダイビーチ近くのカメ島周辺。ここは浅いところまでサンゴが群生していて、島への上陸はなかなか難しい。他の人達はかまわずサンゴを踏みつけて上陸していたけども。この辺りは昨日の雨がなければ、きっと綺麗だったろう。
ちなみに僕の乗ったツアーは、ダイバーと同じポイントに行くのでシュノーケラーにはちょっときつかった。今回は南部のアントイ諸島へは行っていない。事前にダイビングショップで内容をよく確認した方がいいかもしれない。
さて2本目が終了してさあ解散、と思いきや船上でランチ開始となった。できれば1本目と2本目の間の小腹が空いたところで食べたかった。今は疲れと酔いで食欲がない。出来るだけ早く帰れますようにと思いながら揚げ物主体の弁当を食べた。


ジャングルのラムハへ戻ってきた。帰ってきたら帰ってきたで、今度は密林が鬱陶しい。バンガローの窓の外は草しか見えず山に閉じ込められた気分だ。もし出来ることならば10階くらいのベランダの付いた近代的なコンドミニアムでグァバジュースを飲んでリラックスしたい。ベランダから青い海が見えたら最高だ。そんな想像をしている僕は一体何をしにここに来ているんだろう?
南の島の過ごし方は難しい。のんびりと言えば聞こえがいいが、暇と不自由の掛け合わせだ。せめてスーパーかコンビニが近くにあれば退屈をしのげるのに。ポテトチップス、飲むヨーグルト、杏仁豆腐、あんかけ焼きソバ、フライドチキン。食べたいものが次から次に頭に浮かぶ。つくづく僕はリゾートに向いていないと思った。どうせ海が見えないのならば、まだ利便性の高いユーンドンに宿をとった方が良かった。
とは言え、もう少し体力に余裕があれば、5分歩けば美しい砂浜に出られる好立地を素直に喜んで、サンセットを眺めながらの夕食に感動していたのかもしれない。海を楽しむには疲れすぎていた。今夜はもう泳がない。食事をさっと済ませて部屋に戻った。
日焼け後の反応が本格的に始まった。太ももが灼けるように痛くて寝付けない。辛い夜だった。