こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

ゴーン被告の逃亡

一番好ましいのは、ゴーン被告に黙っていてもらうこと。レバノン法相にせよレバノン外務省にせよ、日本との関係維持を強調しているので、外交ルートでの働きかけが効く可能性がある。8日に予定されている会見がキャンセルされるか、控え目なトーンであれば上手いったと考えられる。しかしゴーン被告の人となりや思いを考えると、甘い期待は禁物だろう。

 もし本気でゴーン被告の日本への送還を求めるのであれば、官邸が、ゴーン被告が犯した罪の重大さやそれを裏付ける証拠の確実さを訴えることが望ましいが、同時に対応の矢面に立たされることになるので、巻き込まれることを嫌う官邸はおそらく避けるだろう。

であれば、ゴーン被告が日本の司法に対する批判を繰り広げた場合、検察庁東京地検はどう対外的に対応するのだろうか。いつも「関係者によると」という枕詞を付けて顔を出さずに報道機関を通じてメッセージを流す人たちが、平場で批判された時にどう振る舞うのか、個人的に興味はある。

逮捕・起訴の決定の正当性の説明や密告型司法取引がえん罪を招いたのではないかという指摘に対する反論を、海外に向けて真っ当なロジックで行う必要があると思われるが、本件のように何らかの強い意向を受けて進められた事案は、こけると非常に脆い。

今回の一件が、司法制度改革の端緒となるのか、長期間に渡って禍根を残すことになるのか、注視したい。