こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

カンボジア10 シェムリアップ

2011年3月23日

船旅の疲れのせいか日本人宿の快適さで肩の力が抜けたのか、昨日は9時には寝てしまっていた。そしてそのまま10時間眠り続け7時に目が覚めた。朝食はパンとオムレツとコーヒーの洋風朝食だった。少しうれしい。食べるとまたけだるくなってきたので、部屋へ戻り寝るわけでも本を読むわけでもなく、天井をただ眺めていた。

10時に宿を出て町を散策してみた。シェムリアップは、特にこの20年で開発が進んだ新しい町だ。まっすぐ延びた新しいアスファルトの道は、100年前に作られたカンポートのシャンゼリゼ通りとも、バッタンバンのコロニアルな建物群とも違う。市場の周辺は特に開発されていて、一角には旅行者が好みそうなカフェとバーがひしめき合う。その他ショッピングモールやKFCなど、旅行者が快適に過ごすためのものが揃っている。一方で、この町がかつてそうであったであろうのどかさは保たれており、とりわけシェムリアップ川沿いの豊かな緑は心を鎮めてくれる。僕はカフェ通りの店でビールとチャーハンを頼み、ガイドブックを読みながら2時間ほど過ごした。夜は観光客でごった返すであろうこの界隈も、昼は人が少なく静かである。
午後3時頃にスコールに見舞われた。しかし熱帯の雨はザーッと降った後にサッと上がる。20分ほどできれいにやんだのを確認して宿へ戻った。
一休みしてから、自転車を借りてアンコール遺跡を目指した。17時以降の入場は翌日のチケットが有効だったので一日券を購入して遺跡に入った。本当は、夕日を見るつもりで来たのだけども、また雨が降り出したのでアンコールワットで雨宿りをする。雨がやんだのを見計らって宿まで戻ることにした。するとまたしても雨が降り出した。ぽつぽつと降り始めた雨は瞬く間にバケツをひっくり返したような土砂降りに変わった。デイバッグの中の新しいカメラが濡れるのではないかと心配になり、タオルでグルグル巻きにしてバッグの中に入れ直した。しかしそうした行為を嘲笑うかのように雨は更に勢いを増して体に叩きつけてきた。その時、自分の中で何かが吹っ切れた。雨がシャワーにしか思えなくなったのだ。そうすると逆に心地良くなり、笑いが止まらなくなった。雷鳴がとどろく中、僕は大声で叫びながら宿へ戻った。
全身ずぶ濡れの姿を見つけて宿のスタッフは大丈夫かと声を掛けてきた。しかし、髪やデイバッグやシャツから水が滴り落ちる中、濡れた眼鏡も拭かずにニタニタ笑う僕を見て、スタッフはそれ以上話し掛けて来なかった。
部屋へ戻って確認すると、やはり買ったばかりのカメラは壊れていた。
ミーソン遺跡に続いてここでも神の洗礼を浴びることになった。