こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

カンボジア3 プノンペン

2011年3月17日

キャピトルホテルで朝飯を食べる。実は昨日の夕食もここだったので、ぶつぶつ文句を言いながらも3食連続で来ていることになる。同じ生活パターンを好むのは旅に不向きな証しじゃないかと思わないでもない。チーズオムレツ、パン、ミルクコーヒーで10.5kRだったが、お釣りが100R多かった。呑気で陽気な店員。ベトナムと商売すると剥がれてしまうよと忠告したくなった。

部屋へ戻ると、2人がかりで掃除中だった。浴室まで掃除している。それどころか歯ブラシまで交換していた。そこまでしなくていいのにと思ったが、ここは紛れもなく中級ホテルなのだ。
たまったランドリーは近くの「machine wash」と書かれた小さな店に頼んだ。この小汚い店のどこかに複数の洗濯機が稼働しているのかと感心していたら、裏手で小さな子供たちが楽しそうに裸足で洗濯物を踏み踏みしている光景が見えた。もっとも1㎏=1kR=20円の店に文句を言うまい。

このホテルはNHKが映る。地震の状況、津波の状況、氷点下の被災地。胸がまた痛む。BBC福島原発のニュースばかりで気が滅入る。こんな大惨事を外国から眺めていると、まるでベトナム戦争の兵役を不当に免れたような後ろめたさを感じる。日本でみんなが喪に服している時に、無邪気に旅を楽しめるほど強い意志は持ち合わせていない。その気分に正義はあるか?たしかに経済を考えると、自粛モードは非合理的なのかもしれない。ただ自分が被災者なら、不謹慎は慎んでほしいと思う。その適正なバランスを自分の中に見出すのはなかなか難しい。あとは気分の流れに任せよう。

さてプノンペンには華僑が住んでいるというのがあると思うのだが、たくさんの中華料理店がある。今日は気分を変えてsam dooという中華料理屋にした。場所は目抜き通りであるモニボン通りをキャピトルから600m上がって右折したところ。あるいはセントラルマーケットから真っ直ぐ西に50mのところにある。チャーシュー入りワンタン麺とエビ餃子で5.2ドル。麺は香港風の極細麺、チャーシューは脂がとろけるようでウイキョウが効いて旨い。スープはもう少し醤油を抑えた方が好みだった。そして真打ちはエビ水餃子だ。生簀から取り出したばかりの鮮度抜群のエビが、食感・味とも今までないくらい素晴らしかったのだ。まあ点心屋はすぐ料理人も味も変わる。久しぶりの中華料理で何でもおいしく感じたというのもあるだろう。とは言え、満足した食事の後は精神的な落ち着きを取り戻すことが出来た。

帰路はモニボン通りの一つ東に並行して走る63通りを通って帰る。かつてのプノンペンは人身売買、なかんずく少女売春が横行する街として悪名高かった。しかし浄化作戦を経て再開発され、お洒落な通りに生まれ変わった現在、嘆きの壁を見出すのは難しい。
ふと思う。昔に少女買春をした人たちは、今罪に苛まされているのだろうか?
それとも「良き時代」を懐かしんでいるのだろうか?
そもそも昔の行いを今の倫理で判断するのはナンセンスなのだろうか?