こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

ベトナム縦断16 ダナン経由ホイアンへ

2011年3月2日 

メロディーホテルは国道1A号線に面し、大型ダンプがけたたましく通り過ぎる度に目が覚めた。ドンハーを通過する車両には昼も夜も関係ない。

出発時間が早いので朝は食べずにホテルを出た。列車は定刻通り6時46分に出発した。朝食と昼食を兼ねて、車内販売の串肉2本とモヤシ炒めの弁当を食べた。

フエを通過すると山岳地帯に差し掛かる。山の上部には厚い雲が覆いかぶさり、今にも雨が降り出しそうな怪しい雲行きだ。しばらく高さ1000メートル級の険しい山並みが連なる。しかし峠に差し掛かり山岳地帯を抜けると、あたりはすっと明るくなり海岸線沿いを走るようになる。南へ向かうにつれ雲は消えていき、やがて水色の夏空と海面がまばゆいダナンの海に出る。もうまもなくダナンに到着だ。
ダナンの空はからっとして、フエにもまして青色が濃い。日射しが痛いほどに直接肌へと突き刺さる。街路樹のヤシの木が生い茂り、いよいよ南国に突入したと実感する。

さて今日はここからホイアンまで移動する。バスで1時間だ。問題はこの路線の扱いが都市間バスではなく市内の循環バスに準じていることだ。つまり車内でしか乗車券を購入できない。これがなぜ問題かというと、事前に値段を確認してチケットを買うことが出来ないからだ。ベトナムで値段を確認せずに乗り物に乗る行為は、ぼったくられることと同意だ。ちょっと面倒だなと思った。
乗車後、運賃を回収するおじさんがやってきた。事前の情報だと8kDだったので10kD渡すと、違う違うとジェスチャーを交えて30kDを要求してきた。3倍超だから、これは明らかにぼりに来てるなと思った。僕はわざとらしく首を振って払わない意思表示をするも、逆に困ったような表情をしたので結局言い値の30kDを払った。というのも周りを見てみたところ、ベトナム人も大体それくらい払っていたからだ。同じバスに乗っていたフランス人カップルは僕より強硬に反対しているようだったが、10分以上奮闘した結果、最終的には渋々30kDを払っていた。ここまで堂々としていると、ボッてるのか本当に30kDなのかどちらなのか分からなくなり、狐につままれたような気分だった。

ところでホイアンの宿には期待をしていた。ロンリープラネットによると建設ラッシュのおかげで2003年だけで1000ベッドも増加し、供給過剰から異常に値下がりしたと書いてあったからだ。「オープンしたばかりの朝食込、プール付きホテルが15ドル未満でも驚いてはいけない」。なんとも期待させる書き方ではないか。
ところが1軒目に当たった宿は20ドルで窓なしだった。15ドル以下朝食プール付きとだいぶ話が違う。僕はこのホテルの人が冗談を言っているのか、間抜けで自分のところが割高なのに気付いていないのだろうと真剣に思った。だが次の宿も18ドル朝食なしだった。たまたまが続いたのか?気を取り直してヴィンフンホテルという、貿易会館だった建物を改修したアンティークホテルを当たった。これは沢木耕太郎が「一号線を北上せよ」で泊まった由緒あるホテルである。「1号線を北上せよ」の中では1階が15ドル、2階が30ドル、ロンリープラネットでも15ドルからとなっている。中を見せてもらうと、最新設備を備えてはいないものの木造の歴史を感じさせる魅力的な雰囲気だった。値段を聞くと19ドルだという。ちょっと値上がりしている。出せない値段ではないが、しかし20ドルの大台に乗りそうだ。ここで贅沢すべきかどうか。いやせっかくホイアンに来たのだから旧市街らしさを感じられる宿に泊まるのも一案だ。しかし19ドル、19ドル・・・と呟きながら考え込んでいると、宿のスタッフが笑いながら「19(ナインティーン)じゃないよ、90(ナインティ)だよ」と訂正したので、不意を突かれて苦笑してしまった。
そうか。ホイアンにはもうお買い得な宿など無いのだ。2003年には客室数が増加したのかもしれないが、その後の観光客増加でも需給の偏りはなくなった、いやむしろ供給不足なのかもしれない。なんせ今は2011年なのだ。
快適な宿に泊まるのは諦めてホップイエンホテルという安宿に足を運んだ。13ドルと11ドル、それぞれ狭いツインととても狭いシングル。窓なし朝食なし。初めはとりあえず11ドルに一泊して翌日宿を移ることも考えたが、掘り出し物があるとも思えない。結局13ドルの部屋に2泊することにした。
ついでに洗濯物がたまっていたのでランドリーサービスをお願いした。1kgあたり15kDで2.3kgだから34.5kD。支払いは部屋付けにしてもらった。
昼食はカオラオを食べた。これは汁無しうどんに豚肉のスライスなどを載せたものだ。正直な感想を述べると、僕は食べ慣れたフォーのほうが好きだなと思った。夕食はダクサン・ホイアンという店でホイアン名物セットメニュー75kD。内容は記憶にないがやはりカオラオ、ホワイトローズというライスペーパーでエビのすり身を包んだものなどだったように思う。メモが残っていないのは、あまり感激がなかったのだろう。
最初の宿探しの段階で躓いたのが響いて、どうもこの町全体のツーリスティックな雰囲気になじめなかった。