こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

中央アジア64 タシュケント

2011年8月17日

タシュケントはとても大きな街で、徒歩で回るのは難しい。そこで交通機関として活躍するのが地下鉄か「タクシー」だ。ただ、どちらも慣れとコツが必要だ。
まず地下鉄については、厳しいセキュリティーがネックになる。駅の入り口には警官が立ちはだかっていて、カバンを持って入ろうとする乗客は全員荷物検査を受けることになる。加えて「ビー オトクーダ(どこから?)」と聞かれ、パスポートもチェックされる。毎回これをやられるとだんだん面倒になってきて、地下鉄に乗るのがおっくうに感じるようになった。
しかしその煩わしさを上回る価値が駅構内にはある。ソ連時代の核シェルターとして整備された駅の内部は、過剰とも言えるくらいの装飾が施されているのだ。絶対見落とせない代表的なものを挙げると、前衛アートのようなbodomzor駅とalisher navoi駅の繰り返しドームになるだろう。僕が個人的に好きだったのは、一面の青い壁に宇宙飛行士が描かれたKosmonavtlar駅の雰囲気だった。当時は駅の写真を撮影することが禁止されていたため、写真には残っていないがわざわざ駅を見るためだけに地下鉄に乗っていたことを記憶している。

一方の「タクシー」は、ちょいとテクニックがいる。タシュケントでのタクシーとは白タクなのだ。タクシーと掲げた車は見かけなかったし、逆にタシュケントを走るすべての車が潜在的にタクシーであるとも言える。
利用の仕方を説明しよう。タクシーに乗りたいと思ったら、通り沿いに立って手を横に出す。すると、15秒以内に必ず止まる車が現れる。そのドライバーに行先と値段を告げ、窓越しに交渉するのだ。ドライバーが合意すればそのまま乗り込み、折り合わなければドライバーはそのまま行ってしまう。この交渉にかかる時間はほんの数秒なので、仮に数台に断られたとしても数分以内に車を捕まえることができる。
ちょっと遠い目的地だとドライバーと行先が合わないことが多くなるので、僕がよく使っていたのは次のようなやり方だ。例えば2km直進、左折して1kmの場所に行く場合、まず2km先まで行ってくれる車を捕まえ、そこでまた車を探すのだ。こうするとドライバーもあまり考えることがなく、交渉も簡単に済む。乗り換えの手間と運賃を2回払うデメリットはあるが、だいたい安いお金で乗せてくれるので値段のことをあまり気にしたことはなかった。

闇両替は、チョルスーバザール周辺にたくさんたむろしていた。場所によって微妙にレートが違うのが興味深いところだった。一番良かったのは金曜モスク前で244kソム、逆に良くなかったのがメトロ出口付近で230-240だった。タシュケントの街中で札束を数えるのはNGなので両替商を信じるしかないが、それを見越してちょろまかす連中も少なくない。こうしたイカサマが一度もなかったのも金曜モスク前だった。だから金曜モスク前で必ず両替するようになった。僕はここに商売の基本を見たような気がした。ちなみにコーカンドでは100ドル220kソムだったことを考えると、さすが首都タシュケントのレートは格段に良い。