こふん日記

2011年の旅行記 メコン編、中央アジア編、チベット編

中央アジア24 アルマトゥイ カザフスタン

2011年7月20日

 

朝は快晴だった。南向きの部屋からは雪を被ったアラタウ山脈が見える。アルマトゥイは「リンゴの里」という意味で、1833年にレーデブールがアルマトゥイの山中で発見したMalus sieversii種が、現在世界で栽培されているあらゆるリンゴの起源であると考えられている。とは言え、アルマトゥイは都会で、リンゴの里であることを体感する機会はない。

絢爛豪華なアスタナから来ると、ソ連時代の建物が残るアルマトゥイがやや古めかしく感じるのは否めない。しかし街には高級ブティックが立ち並び、道行く人々は垢抜けている。またスーパーに入ると、ワインやチーズの豊富な品揃えに驚かされる。そして街中には、おそらく東京より多くのレクサスが走っている。なお運転マナーは良好で、横断歩道がない所であっても、歩行者を見つけると車は必ず停止する。歩行者確認の概念が存在しない中国とは対照的である。これはまだ中国からカザフスタンの順番だからマナーの良さに驚くだけだが、逆方向だと相当に危ない。

朝飲んだケフィールが効いて下痢気味だったので、昼は軽く街のカフェで済ませることにした。緑の多い街並みに溶け込むようにcaffee-deliaはある。50席ほどのテラス席に人々は詰めかけ、短い夏の空気を少しでも味わおうとしている。僕は人の少ない店内に入り、カフェラテストックホルムというチョコケーキを注文した。内装は北欧風の調度品で明るくシンプルにまとめられ、フローリングの床とゆとりを持って配置された木製の円テーブルが心地よい。上部の柱だけが明るいオレンジで塗られ、モダンで洗練された雰囲気を醸し出している。ストックホルムというのが、一般的にチョコケーキを指すのかどうか分からないが、甘いものを欲していた自分には丁度よかった。テラスの客を眺めながら、ラテアートのハートに大量の砂糖を溶かし、ちびちびと飲んでいた。移動の疲れからじわじわと倦怠感が湧いてきた。

さて、アルマトゥイではレストランで夕食を食べていない。代わりにスーパーの惣菜で全てを済ませた。PAMCTOP(ラムストール)という高級スーパーに足繁く通い、キュウリとカブのサラダ、馬肉ハム、鶏もものグリル、ラムチョップなど、豪勢な夕食を宿で食べていた。美味しいサラダをたっぷり取れるのがありがたい。物価さえ安ければ、時間の許す限りここで栄養補給をしていきたいと思ったが、さすがにこの生活を毎日続けることは予算が許さなかった。